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と、現実逃避をしたところで零也はため息をついた。
昨日してしまったことが頭から離れない。
僕は…散葉さんにキスをお願いしたんだ…。
自分から体の関係を断ったくせに、一時の欲であんなことをしようとしてしまった。
散葉の好意に、応えないくせに甘えたのだ。
それが零也の中で重圧になっていた。
「零也くん、出来たよ~」
「あ、はい!いま行きます!」
ずきん、痛みはいつまでもひかないままだった。
☆
「今日はどうしよっか?家でいちゃいちゃしちゃう?」
「あの…今日は学園を案内しようかと…あっ!もちろん、嫌だったらいいんです…雪鬼との戦いに備えて神降ろしの練習をしなきゃいけませんし…」
あくまでも、当面の目標は雪鬼の退治だ。正味な話し、案内とかはいつでもできるのだ。
けれど、散葉の回答は決まっていた。
「行く!」
指をパチンと鳴らすと散葉の服は、あっという間に形を変えた。短めのスカートにカットのキツいトップスとまたもや露出が多い。
「神降ろしは前にも言ったけど信頼第一!だから二人で長い時間をともにすればするほどに可能性は高くなるよ。この前出来たのは零也くんの九年分の私への信頼からかもしれないし…だって…その…」
散葉の表情が僅かに陰る。いつも笑顔を絶やさない散葉が泣くほどにショックを受けてしまったこと、それは────。
「も、もちろん散葉さんを嫌ってなんか…!」
なんでわかったんだろう、みたいな表情の散葉を零也は見つめ続けた。
「うん、私にとってそれは真実だよ?だって、大好きな零也くんが言うんだもん!」
ずきん!一際大きな痛みが胸に走った。
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