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☆
人目が痛かった。
言うまでもなく、散葉は美人だ。零也が今まで見た中で一番。そして、目立ってしまう訳はもう一つ。ちらりとその原因を見てみると、散葉の歩調に合わせて楽しげに揺れていた。
つまり、零也を魅了してやまないダイナマイトバディだ。
零也の視線に気づいた散葉は胸の前で腕を組んだ。
「どうしたの、零也くん。触りたくなっちゃった?」
「そ、そんなことは…」
うつむいた零也の後ろに回り込んで、散葉は抱きしめた。
身長差的に、後頭部に散葉の胸は押し当てられる。
一瞬で零也は顔を真っ赤に上気させた。
「ほんとに?触りたくない?…もしかして零也くん、大きい胸は嫌い?咲夜みたいなお手頃サイズが好みなの…?」
「え、あ、いや、その…あんまり考えたことがないので…」
「じゃあ今、考えよう?」
今や生徒達は二人のやりとりに夢中だった。ところどころで零也に対する呪詛を吐いてる奴らもいた。
「気持ちよくないかな…」
「…気持ちいい…です…」
なんで僕、みんなの前でこんな事を言わなきゃならないんだろう。
「そっか!そうだよね、零也くん寝るときはいつも私の胸に顔を埋めて寝るもんね」
「い、言わないでください!」
「すりすりしたりもするもんね?わたし時々、我慢できなくなっちゃいそうになるんだよ?襲っちゃいそうになるの」
なんで散葉さん、今日は意地悪なんだろう。やっぱり怒っているのだろうか。
その後もしばらく散葉は暴走して、秋休み明けには零也に色々と変な噂が流れていた。
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