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「ン、オカリナじゃないですか。久しぶり」
優理ちゃんがそう声をかけてくれたことが最近の一番嬉しかったこと。
「久しぶりっ。優理ちゃん、元気してた?」
そう平然を装って言葉を返したことが最近で一番緊張したこと。
* オカリナの恋音
「若僧ども、何してる」
そんな今時どこのどんな役者でも吐かないような台詞が優理ちゃんの第一声だった。
中一の四月。
初めての理科の授業時、理科室がどこにあるのかわからず、どうしたらいいのかと戸惑う私たちはとりあえず教室で待機を選んだ。
そしてチャイムから十分くらい経った頃、教室後方のドアが乱暴に開けられ発されたのがアノ台詞。
今思い出せば笑いが込み上げてくるけれど、あの頃の私たちは不意の声にビックリし、また声主の長身とその迫力ある人相に恐怖を覚え、ただただ固まることしかできなかった気がする。
加えて記念すべき最初の授業が、理科室へと移動してのお説教という素敵な思い出があるのだから、優理ちゃんの印象はとにかく強い。
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