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『いっ……』
「空、大丈夫?」
響が心配そうに見ていた
『うん…ここは?』
「俺の家」
『そっか…ごめんね、
迷惑かけて』
「気にしなくていいよ」
長い沈黙…
そっか…
響の家なんだよね
『響…』
「痛そうだね、今日は
ゆっくり休んだ方がいいよ」
『ごめんね』
「俺達の時間はこれからたくさんあるよ」
『うん』
少しだけ安心した自分と
少しだけ残念な自分がいた
「ここに居るから、安心して」
『ありがとう』
繋いでくれた手は
奏と違って温かかった
心の温かい人は手が
冷たいって言うけど
迷信だと思った
「凱…落ち着け」
「何でお前らはそんなに冷静なんだよ!クゥがいなくなるんだよ?」
「それは奏が決める事だろ?」
「そうだけど…なんなんだよ…」
凱は疲れて眠ってしまった
「俺のベットに寝かせろ」
「うん」
凱を抱き上げて、ベットに寝かせた
「で、どうするの?」
「まだだ…まだ…」
「そんな事言ってるから、空に嫌われるんだよ」
「わかってるよ」
「まぁ、仕方ないか」
楓は溜息をつく
「奏…もし選択を間違えていたら…」
「わかってる」
「そっか」
「完璧に嫌われたよな」
「仕方ないさ…」
「空は……響と…」
「考えない事だな…
大切なのは体じゃなくて心だろ?」
「そうだけど…」
「空と知り合わなかったら、平穏に暮らせていたのにね」
「最悪な事は覚悟していたさ」
「それでも空を愛したの?」
「そうだ…それでも愛する程、空が堪らなく欲しかったから」
「やれやれ…」
「空……響に抱かれて
あんな顔をみせるのか」
「奏、お前がそうしたいと言ったんだ…今更後悔しても遅いんだよ」
「わかってるよ」
二人で明るくなる空を
黙って見つめていた
空は明るいのに
奏の心は真っ暗な暗闇
だった
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