第1章 最期のお願い

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このまま透き通って消えてしまいそうなくらい白い肌に 茶髪がかった細く長い髪の少女、 目尻を下げながら、コトは優しく、頼りない細い声で言った。 「昔、圭介と一緒に桜の花びらを糸で紡いで、ネックレス作ったの覚えてる?」 「あぁ・・・覚えてる。」 その声を包み込むように なるべく暖かく答えた 「圭介が私に作ってくれた奴、ポッケにずっと入れといて、ママに怒られたの」 「ハハ、それは初耳だな」 「うふふ、だと思った。」 茶色く少しくすんだ光を放つコトの二つの瞳は、桜から時計を経由し 弱々しく、けれどしっかりと 俺を捕らえた。
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