第1章 最期のお願い

7/13
前へ
/120ページ
次へ
「圭介、どうしたのかな?」 うつむいていた俺にコトが優しい言葉をかけてくれた。 「コトの為に・・・何が出来るか考えてた。」 「え・・・?私の・・・ために?」 しばらくの沈黙 何か取り返しのつかない事をしてしまった気がした。 「俺・・・今日はもう帰るから」 病人の為に何か出来る事、考えてるなんて・・・・・・ あんたもう死ぬって言ってるようなもんじゃないか 「帰るの?あっ・・・うん」 もしかしたら、コトが傷ついたかもしれない・・・ コトは賢いから・・・ 気付いてしまっているだろう。 そそくさと病室から出て行く。 そんな俺の足を止めたのは 笑顔のコトだった 「ねぇ圭介・・・明日も、来てね」 返事なんてできない コトの優しさと強さに、目頭が熱くなるのがわかった。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1435人が本棚に入れています
本棚に追加