1章

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「凛ちゃん、ちょっとだけよ。早く帰らないと、夕御飯遅くなっちゃうから。」 「うん。三回だけやるもん。」 ふゎっ… そっと秋風が頬を撫でた。 良い匂い。近くで金木犀の花が咲いているに違いない。 ふと匂いの方向に目をやっていると、後ろから声が聞こえた。 「ママ~。」 「はぁ~い。」 振り向くと、滑り台の頂上から手を振っている娘が見えた。 「見てみて。手を離しても大丈夫だよ~。」 「危ないからちゃんと手すりに掴まりなさい。」 「ほら滑っておいで~。」 グラッ……… 「イ・イヤー………」 ……
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