798人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
「凛ちゃん、ちょっとだけよ。早く帰らないと、夕御飯遅くなっちゃうから。」
「うん。三回だけやるもん。」
ふゎっ…
そっと秋風が頬を撫でた。
良い匂い。近くで金木犀の花が咲いているに違いない。
ふと匂いの方向に目をやっていると、後ろから声が聞こえた。
「ママ~。」
「はぁ~い。」
振り向くと、滑り台の頂上から手を振っている娘が見えた。
「見てみて。手を離しても大丈夫だよ~。」
「危ないからちゃんと手すりに掴まりなさい。」
「ほら滑っておいで~。」
グラッ………
「イ・イヤー………」
……
最初のコメントを投稿しよう!