正夢

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痛くて、痛くて。 流れる血は紅くて 綺麗で、鉄臭くて   夢は、現実になって.....。   私は私に殺されて.....。   人はこれを正夢と言うだろう。   『バイバイ、お姉ちゃん.....』   繰り返し聞こえてくる女の子の聲。 だんだん薄れていく....。 だんだん痛くなくなってくる。 だんだん意識が薄れていく......。     ***********     だから、早く帰りなよって言ったでしょ? 音はなくても、示してあげたのに、何で気付かないの? あのカッターだって、何で持っていたの? 気味悪がって捨てれば殺されずに済んだかもしれないのに、何で持っていたの? 帰る方向だって何で気付かないの? 何で帰る場所がないからなんていったの? 気付かなさすぎるよ、お姉ちゃん......。   **********   薄れていく意識の中、両親と産まれてくるはずだった妹を見た。 なくなる自分の居場所。 それが恐くて、怖くて.....。   私は、夢を望んだ。 なくなるくらいなら、消えてしまった方が楽になれるのではないか、そう思ったから。   だから私は、そう願った。   消える前に消す事を.....。       。
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