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夜はとても寒くて、凍えてしまいそうです。
少女は我慢ができなくて、つい一本だけ売り物のマッチを擦ってしまいました。
ゆらゆらと揺れる炎はとても暖かく、灯りの中に見えた男性は、優しかった頃のお父さんにとてもよく似ていました。
「君のマッチ、買ってあげよう」
少女に声をかけたのは、炎の中のお父さん、現実では少女を哀れに思い見ていた優しそうなサラリーマンでした。
サラリーマンは少女を木陰に連れていき、色々な嫌なことをしましたが、最後には少女が一本使ってしまった売り物にならないマッチの束を五千円で買ってくれました。
その日から、少女のマッチは飛ぶように売れ始めたのです。
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