Chapter0≪導かれし者達≫

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「あ!」 「お、彰人。何してんの?」 「今日練習試合でさ。今ちょうど帰るとこだよ 兄貴は?」 「俺もいまから帰るとこ。んじゃ一緒に帰ろうぜ」 ここは家の近くの大通り。 この時刻にも関わらず、先月近くにデパートがオープンした為か、この時間になっても通りにはたくさんの人が歩いている。 空と彰人は他愛のない話をしながらその中を歩いていた。 「今日の試合はどうだった?」 「エヘヘ。『力』使っちゃったんだ。でもそのおかげで勝ったよ。1‐0! 」 空は彰人のこの『力』の事を知っていた。 「全く、そう簡単に『力』を使うもんじゃねぇよ」 「いいじゃんさぁー」 「ま、実は俺も今日は久しぶりに人助けに『力』使ったしな。 それがさ、子供が――」 刹那だった。 頭の中を不快な音が支配した。 突然の耳鳴りと共に、世界が――いや、時間が『停止』した。 『停止』したとしか表現できないだろう。 先程までせわしなく行き来してた人も、車も、街の灯り火も全てがその活動を止めている。 思考は正常だが、体が動かない。 金縛りにあっているかようだ。 しかし、『この世界』で一人動いている者がいた。 体を白いローブで包み、フードをしている為、顔は見えない。 身長は、空の腰程しかない。 異常だ……この空間で一人だけ動ける得体のしれない『なにか』 『それ』は、こちらに近付いてくる。 恐怖で逃げたくても体が動かない。 そして『それ』は、2人の元へ近付くと、軽く跳躍し、額を指先で『触れた』 瞬間 「なっ……」 何事もなかったかのように世界が動きだした。 空達はすぐに異変に気付いた。 動きだした世界の中に空達は『居る』。先程と変わらず話をしながら歩いている。 2人は幽体離脱のように、元の体と別れたのだ。 急いで体を確かめるが、なんの異常もない。 そこに存在している。 混乱していると、足元に魔法陣のような紋様が浮かびあがった。 そして――― 意識はそこで途切れた。 でも、薄れゆく意識の中で確かに聞いたんだ。 『ようこそ』 【神崎 空】 【神崎彰人】 転送完了
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