プロローグ~Prologue~

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普通なら逃げ出すところだろうが、ここにきて大の動物好きな俺の本能は冷静に動き始めていた。 そしてその本能はトカゲみたいな奴は俺が今日買った大トロの刺身が食いたいだけなのではないかという結論に至った。 っていうか実際、よく見てみるとこいつの視線は俺自身よりも俺が今持ってる買物袋に殺到してるし。 俺は、試しにたまたま買っていた袋の中の刺身をそいつに恐る恐るあげてみた。 俺の本能の予測は当たっていたらしい。 どうやら本当に腹が減っていたそのトカゲみたいなのは、少しのためらいも見せずにそいつを一口で頬張った。 「…………もうちょっと用心しようぜ………」 俺は、少し呆れながら、おいしそうに刺身を食べるトカゲを見つめていた。 意外に食事姿は可愛いなとか思ったり。 ……意外にだけど。 「あ~!やっと見つけましたあ~!」 不意に、そんな声がした。
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