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「真実は、時に道を選ぶことさえ許さない」
生暖かい風が吹く中
結は静かに笑っていた。
驚愕を隠せないでいる神無月は、ただ目を見張って目の前の少女を凝視するのみ。
結が語った真実。
ケイの脳にある殺人ウィルス
それを使えるのもケイ一人
そして現在の両親は政府裏組織の人間で、血は繋がっておらず。
ケイが何も知らないまま、あの家にいたとして。
彼は、普通に暮らせていただろうか。
「私が何故このことに気付いたか。それは、単なる不運から」
淡々とつむぐ言葉の中に、彼女なりの覚悟が垣間見える。
「脳にある、チップの不具合よ。チップにある様々な情報を知ることになった。……原因は、多分私が受けていたイジメね。頭を打つこともあったから」
いつ知ったのか
それは分からない。
だが、それは大した問題ではない気がした。
「そこから、お兄ちゃんの中にある殺人ウィルス、本当の両親、自分の存在意味。知った上で、今の両親に聞いたの。あなたたちは誰だって」
当時幼かった結には、調べるよりも聞くのが早かったのだろう。
ただでさえ、愛情を受けず学校でイジメにあっていたのだ。
彼女も限界にいた上での衝撃の事実。
誰かにでも聞かなければ耐えられない。
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