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目眩を感じる。
「ケイ?」
言い様のない不安に駆られ、魅月は彼の名を呼んだ。
小さく揺らいだ体
怯えているようにも映る。
「じゃあ、もう一度聞こう」
滉が冷たい声音で尋ねる。
「全てを知った上で、生きていく覚悟はあるか?」
静かに
ケイは立ち上がった。
結の目的
ケイの存在意味
殺人ウィルス
ドミノゲーム
終わらせる、べきだ。
「俺は」
「あるわ」
ケイが口を開いたのと同時。
ハルが答えた。
「……は?」
覚悟を決めて答えようとしたのを遮られ、何故か勝手に答えているハルを見る。
小首を傾げて、何か文句ある?と言いたげにハルがケイを睨んだ。
「あるって言ったの。聞こえなかった?」
「いや、あのな」
「何」
「お前が答えるのかよ」
「そうよ」
憮然として譲らないハルの態度に、思わずため息をつきたくなる。
「嫌だ」
「はぁ?」
突拍子もなく、また何を言い出すかとハルを再び見てしまう。
「嫌なの、誰が死ぬとかそういうの。それで解決するぐらいの問題なら、最初から戦わないわ。それに……」
語尾を濁して、彼女は目を伏せた。
「と……友達、でしょ」
「ふっ……」
最後の辺り、声が裏返っている。
魅月が耐えきれず、吹き出した。
「はははっ!良かったじゃあないか、ケイっ」
「えー……あ、うん?……う、うわぁっ!」
事態を把握する前に返答しようとして、理解したケイは鳥肌を抑えるように片腕に手を当て、悲鳴をあげた。
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