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「そうと決まれば」
そう一言。
ハルは仕切るように言い放ち、滉に視線を移す。
「茜とデイジー、起こせる状態?」
尋ねられ、首を捻る。
医者じゃあるまいし、分かるわけがないのだが。
「ま、いいわ」
聞いておいて自己完結。
ハルらしいと言えばハルらしい。
ベッドまでゆっくりと歩く。
焦りはない
まるで
全ての終わりが分かっているかのように。
いや
分かっているのではない
自信だ。
「茜、デイジー?」
見下ろす形で名を呼んだ。
右手でそっと、茜の髪をすく。
「ん……」
瞼がぴくりと動いた。
「茜」
「んんー……ん?」
「日本語喋れ」
子供のようにぐずる茜に呆れつつ、苦笑いしながら頭を撫でた。
「あー……ハルぅ。えへへ」
ハルだと分かるや否や
人懐っこい笑顔に変わる。
「……大丈夫?」
思わず声も優しくなる。
子供が出来たらこんなか?と場違いなことも感じたが、茜の反応が、どちらかと言えば恋人を見る態度に近いことをハルは知らない。
「うん、ハルが来てくれたから」
「そう……」
笑顔を返すハル。
その背後で、複雑そうに顔を見合わす男性3人。
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