それを知る者に与えられるモノ

24/30
前へ
/410ページ
次へ
「……あの」 「あ」 茜とハルが同時に声をあげる。 茜の隣で寝ていたデイジーが上体を起こし、冷たい視線を送っていた。 「私もいるんですが……」 「なんの修羅場だよ」 デイジーの態度に思わず呟くケイ。 黙っていた方が懸命だよ? 睨みをきかすデイジーを横目で見つつ、魅月が耳打ちした。 「デイジー、大丈夫?」 気にすることもなく、ハルが尋ねる。 頷いて、彼女はそっとため息をついた。 「皆さん、お揃いで……」 「やあ、デイジー。元気そうだねっ」 「揃ってないけどな、約1名」 テンションの全く異なる返答を流して、デイジーは茜に視線を投げる。 「無事、ですね」 「あ……デイジー、ありがとう」 笑顔を見せる茜。 デイジーは照れ臭そうに俯いて、別に、とだけ呟く。 「あれ、そう言えば、どうなってるの?」 現状を把握しかけて、何故か魅月とケイの間にいる滉を見つける。 不思議に思うのは当然で、茜は予想しやすい不思議そうな表情で首を捻っていた。 「まあ、ある意味2人の功績じゃない?」 滉をチラミして、ハルがそう答える。 うるさいよ そう拗ねた滉の声。 無表情を返して、ハルは無視した。
/410ページ

最初のコメントを投稿しよう!

390人が本棚に入れています
本棚に追加