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視界の隅で、何故か無視され項垂れる滉を、これまた何故か慰めているケイの姿を捉えつつ、茜はデイジーと共にハルから現状の説明を受けた。
ハルはハルで、2人からハル達が来る前の状況を聞いている。
とにかく、どんな情報も聞き逃したくはない。
わけの分からないものが新たな真実へ結び付く残酷さや不条理さを知らないわけではないのだ。
「ありがとう、分かった」
そう言って、ハルはまだ顔色がよいとは言い切れない2人にハンカチを差し出す。
「ハル達こそ、足大丈夫なの」
それを受け取りながら、心配そうに顔を見上げた。
茜の頭に、そっと手が触れる。
「心配すんなよ」
ケイだ。
少し気持ちが揺らぐ。
心配しないわけがない
心配しない
そんなこと、出来ない。
ハルの口から出た真実はあまりにも酷だ。
全てはケイの為の
罪。
責任だって感じているだろうし、罪悪感だってある筈だ。
それ以上に、悲しい筈だ。
自分の選択肢がないうちに、爆弾を背負っているのだ。
『ケイが死ねば全ては終わる』
ハルは決して言わなかったけれど、それは分かりきっていること。
でも、ケイはまだ死なない。
預けた、と表現しているが、現実無理なのだ。
ドミノゲームで繋がっている限り、彼は死ねないだろう。
他の仲間を犠牲には出来ない筈だから。
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