それを知る者に与えられるモノ

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「あ、ありがとう」 ぎこちなく体を起こし、立ち上がる。 多少ふらついたが、滉が支えているので大丈夫そうだ。 「騒がしくなりそうだったから」 「や、もう騒がしいよ……」 嫌がるケイを捩じ伏せてハルが何か言っている。 内容は聞こえないが、まあ文句だろう。 しばらく眺めていれば、気が済んだらしくハルは清々しい表情で魅月とこちらに歩いてくる。 魅月、傍にいたなら止めるくらいしてもいいのではないだろうか。 止めずに傍観している辺り、彼が彼である意味でもある気はするが。 「いやぁ、楽しかったね」 嫌味もすこぶる好調。 「別に。さて、滉。場所を移動しない?」 「え、でも、神無月と結ちゃん、ここに来るんでしょ?」 戸惑いつつ、茜が聞く。 「だって、それケイの推測だもの。全て信用はしません。今は私が法律」 さりげなく、恐ろしい宣言をされませんでしたか、ハル。 ついつい敬語で尋ねたくなるが、それは抑えるべきだろう。 彼女の表情は、真剣本気だ。 「じゃあ、どこに行く気だい?」 魅月が愉快そうに笑った。 こういう時は本当にこの2人は相性がいいらしい。 「神無月の家、と言うか空き家」
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