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「そう言えば」
デイジーをベッドから引き剥がすように立ち上がらせつつ、ケイは声のした方を振り向いた。
「この施設は?」
尋ねたのは茜。
丁度ハルと魅月も戻ってきていた。
「ああ、俺の本当の両親が、有り金使って作った隠れ家らしい。俺や結が鍵になって、このモニターから政府研究施設が見れたり、あとは脳にあるチップの通信起動に繋がったり、とかな」
「通信起動?」
「ああ、俺と結の脳内が繋がるみたいな感じだな。まあ、短い間しかもたないから、今は全く」
軽く唸りながら興味深そうに話を聞いている茜。
「タクシー来るから、外出るよ」
苦笑いを浮かべ、ハルが声をかけた。
「あ、うん」
「……あの」
遠慮がちに、デイジーが手をあげた。
「私、この人に聞きたいことが、あるんです……」
滉に視線が向けられる。
「分かっているよ。全て、話す」
「分かってなければぶん殴って吐かせるわ」
「新型ウィルスとかあるよ」
暴力派ハルと知能派茜。
最凶コンビだ。
「……慎んで吐かせていただきます」
そっと後ろでケイが合掌していたが、あえて気付かないふりをする。
立場的に、彼に近付いている気がするが、それはかなり嫌なので遠慮したい。
「屍……」
デイジーによる、わざとらしい単語に泣きたくなったのは、秘密だ。
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