その先に

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泣きたくても泣かない。 それは、些細な決意かもしれないけれど。 「分かった?あなたに、このゲームを止める手段もなければ意味もなく、権利さえない」 結は涼しい表情をつくり、神無月に話しかけた。 神無月と言えば 神妙な顔付きでただ結を見つめている。 ――――考えろ。 目眩さえ覚える驚愕の絶望を前に、彼女は必死に出口を探っていた。 諦めてはいけない。 ここで、自分が終わりを決める権利こそ、ありはしないのだから。 今出来ることを、結を死なせない為に、仲間の死を止めケイが生きる意味を見い出す為に、何をすればいいのか。 諦めるな まだ諦めるのは早い筈。 考えろ。 「もう、いい?」 結は呆れたようにため息をつき、手にしているナイフを翳す。 「さあ、終わりよ」 歪んだ笑顔が空を仰ぐ。 沈みかけた日が、その頬を赤く染め上げていく。 『お前、俺が好きだろ』 ケイ。 『護るよ』 馬鹿なやつ。 心の中で吐き捨てて。 なら、約束、忘れないでと、願った。 「良かったわ」 小さく呟く。 最期の最後、ケイを生かす、そしてドミノゲームの闇に光を射す鍵が あなたを好きになったことで、良かった。 神無月は背中を押されたかのように走りだし、結にぶつかった。 彼女は驚きよろける。 手から離れかけたナイフを、違う指が絡めた。
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