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「……なら」
デイジーは真っ直ぐに、滉を見つめた。
「采配ミスと言えなくしてやります」
「え……」
「私は必要だったんだと、認めさせます。……健治が、救いだと言ったんです……私は」
ねえ
君は。
最後まで私を見ていて、必要としてくれたんだね。
ならば答えなどひとつしかないと、デイジーは分かっていた。
罪悪感や迷いや悩みは無意味だ。
「健治を信じます」
信じて、今は待つ。
必ず救いとなれるように、覚悟を以て。
「……凄い、な」
滉は半ば呆れたような笑顔を浮かべ、瞳を閉じた。
「見せてもらうよ」
心から。
見てみたい。
過去と過去が交わり生み出された絶望の象徴の子らが、死を以て救いとする闇『ドミノゲーム』に、光を射す光景を。
そして
もう一度。
「僕も願っていいだろうか。ほんの少しだけ、生き長らえることを」
桜の幻影に置いてきた、この世界の姿を知らぬ姉の代わりでもなく。
ただ自分の為に
生きてみたいと、願っていいのだろうか。
「そういうのは」
素早く視線を外し、デイジーは言葉だけ向けた。
「自分で決めるんです」
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