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「あ」
キッチンでお茶の用意をしていたケイが声をあげた。
お茶の近くに近寄ることを禁止されたハルと茜が、入り口付近からケイを見る。
「どうしたの」
「携帯電話がないんだよ、俺の」
肩を竦めてケイは言った。
「つか、なんでお前らまでここにいるわけ?」
「えっ……そ、それは」
口ごもる茜。
何か、怪しい。
「別に。監視」
「はぁっ?」
ハルの回答にケイは声をあげたが、すぐに理解出来た。
「あー……別に、死んだりしねぇよ。まだ、その選択は出来ないからな」
「う、うん。たださ、心配なんだよ」
茜が慌ててそう言った。
「ドミノゲームとか、そういうの関係なしに、ケイが心配なんだよ」
「俺?」
「うん……だって、仕方ないでしょ?心配なんだもの」
「茜。説明になってないから」
ハルが突っ込むが、茜はそう?などと尋ねている辺り、理解はしていなさそうだ。
「……そか」
嬉しいやら複雑やらで、どんな顔をすればよいのか分からず、ケイは俯いた。
どう出来たら、一番いいのだろう。
思考の迷路。
出口は、どこだ。
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