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待ち合わせ場所に急いで赴く。
延々と田圃と民家が続く道を少し早足で歩く。
いつも待ち合わせの目印としている場所に二人の人影が見えた。
「おっせーぞ、千早!」
「おはよう、千早ちゃん」
「おはよう、美里」
「おい、俺を忘れるな!!」
「あぁ。ごめん。ちっちゃくて見えなかったわ」
「何だと!? もっぺん言ってみろ!!」
ふわふわとした髪のショートヘアのおっとりした少女―綿谷美里(わたやみさと)と
千早より拳三つ分小さい勝気そうな少年―小太刀礼一(こだちれいいち)が
そこには立っていた。
礼一は大きく胸を反らすように立つと、下からねめつける様に千早を
睨んだ。
それでも、身長は変わらない。
「いいか!? 千早。俺はお前より一つも年上なんだぞ!ネンコージレイを
弁えろ!!」
「なんですか、そのネンコージレイって。ようは先輩をつけて欲しいんでしょ。
無理無理。礼一は礼一だもの」
「小太刀先輩も千早ちゃんも早く行かないと遅刻しちゃうよ?」
ゆっくりと歩いていた一向の足が速まる。
ふと、視線を感じて千早は立ち止った。
他の二人も少し遅れて立ち止まる。
「どうした、千早? おくれっぞ?」
「ぅん…。ちょっと、ね。先、行っててくれる?」
「千早ちゃん?」
「ごめん! もしかしたら遅刻するかもって先生に伝えといて!」
「あ、千早!」
二人の静止を振り切り、千早は視線を感じた方に走り出した。
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