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逆らえない何かを感じ、俺は座ったままジリジリと後ろに下がった。
兄貴はベッドサイドから立ち上がり、ゆっくりと俺に近付いて来る。
俺は言い様のない恐怖を感じて後ずさるが、すぐに壁に背中があたり、これ以上逃げられなくなる。
「なんで逃げるの?」
そんなことを言われても答えられない。
自分自身でさえ、なぜ兄貴にこれだけ恐怖を感じるのかわからないのだ。
「ねぇ、夕希(ゆき)。俺のお願い聞いてくれるかな?」
兄貴は俺を壁際まで追い詰め、俺の唇を指でなぞった。
俺は瞬きも出来ず、兄貴を見つめたまま硬直した。
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