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「夕希、もう一度訊くよ。俺と一緒の高校受けるよな?」
「……うん」
俺はもう頷くしかなかった。
兄貴は満足気に笑い、血の滲んだ耳たぶを舐めてくる。
ざらりとした舌の感触に背筋を何かが駆け抜けた気がした。
(な、なんだ……?)
自分の反応に自分で驚く。
くすぐったいとも快感ともいえないその感触に俺自身が怖くなってくる。
「やめて!」
俺は兄貴を突き飛ばしていた。
フローリングに尻餅をついた兄貴は、すぐに立ち上がって俺を見下ろした。
「わかっていると思うけど、約束は守れよ」
それだけ言って、兄貴は部屋を出て行った。
(なんで兄貴、俺にだけあんな態度なんだ?)
俺は極度の緊張から開放されて、壁にもたれ掛ったまま力を抜いた。
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