第一章~訪問

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紅。深紅といった用法がある。鮮やかな、それでいて毒々しいような。 「うわ、何か赤そうな旅館だね」 そんな不気味な想像は美由の頭の片隅にもない。 「みゆ~? それウケ狙い?」 「えっ? 何がぁ??」 「はぁ~。ううん、何でもない」 「……?」 美由は未だに自分の脳天気さに気付いていない。 「それじゃあ、明日学校で舞とみずきに伝えるね!」 「あ、うん! わかったぁ」 「じゃあ、また明日ねぇ」 「バイバ~イ」 電話を切った美由はベッドに横になる。部屋はかなり広い方で、テレビや冷暖房までついている超がつくほど豪華な部屋だ。 机の上にはノートと教科書が開いて置いてある。 「あ、宿題やらなきゃ」 さっと立ち上がり、机に向かう。
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