愛し君へ

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      その話を元就が聞いた数日後───     瀬戸内の海辺に、元就は一人佇んで居た。   自分のプライドの所為で失った命。 あの時、彼の真意に気付けなかった自分の愚かさ。 それが招いた、今にある結果。   いくら悔いても、もう何も戻ることは無いというのに。       「光秀……」     僅かに頬を伝い落ちる雫を気にも留めずに、元就は一人呟く。         「…もう1度、城に来いと……言うたはずであろう…貴様という奴は………」     いつの間にか頬を伝う涙は大粒になり、つつと滴っていた雫は、今ではぼろぼろとその瞳から零れ落ちていた。         「……貴様と言う奴は…」         すすり泣くともせず、ただ涙を零して自分の愚かさを悔い続け、元就は新たにその胸に決意を固め、最後にこう言い残して、戦地へと、己の道を再び歩み始めた。               「貴様の分まで生きてやろうではないか。…莫迦者めが……」          
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