第一章

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「お・に・い・さ・ん……」 突然、背後から声が掛かる。 振り向くと、そこには若い女が立っていた。 俺の不機嫌な表情を読み取ろうともせず、女は明るく喋りだした。 「ねェ、まだ眠たくないでしョ?」 ……何を云ってるんだ? 俺は少し首を傾げた。 「お兄さん、あたしと遊ばない……?」 あァ…、援助交際ね 「ね…? ここ出よう……!」 ミニスカートにインディアンみたいな靴と、艶の無い金髪。 ――典型的なコギャルってヤツか。 厚化粧が似合わない。 とりあえず訊いてみた。 「……いくつ?」 「エッ、なに?、金額?」 「いや、じゃなくって…、歳」 「あっ、エヘヘ…、19だよ」 女は恥ずかしそうに笑った。 嘘つけ! 高校生だろ? 少し眼を細める。 「いや、止めとくよ」 「え~ッ、……お金ない?」 「そんなことはないけど……」 「じゃァ、いいじゃん!」 ずいぶん喰い下がる。 金持ちにはみえないだろうし、タイプ…、ってことはないよなァ……。 辺りを見渡す。 リュックサック背負った小僧や、よだれ垂らして眠るサラリーマン。 なるほど、俺が一番ましか?
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