第二章

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「おいっ」 俺の言葉に体を小刻みに痙攣させる。 「座れよ……」 堪らず声を掛けた。 「あっ、いえっ…、このままで大丈夫です」 女は両手を小さく振って断る。 一生懸命無理して作る、ひきつった笑顔を見て、なんだか罪悪感に襲われた。 テレビから流れる、ホテルのインフォメーション番組も場を和ますことは出来ない。 「いいから、座れって」 「……となり?」 「そこの椅子に座ったら?」 「……はい」 最初の印象とは大きく異なり、かなり弱々しい。 俺は誘拐犯か……? また少しばかり気が滅入る。 「腹へってないか?」 「い…いえっ、大丈夫です」 この状態では空いてても云わないだろう。 俺は冷蔵庫から缶コーヒーを二本取出し、一本を女へ手渡した。 恐る恐る受け取ると、何やらバッグから取り出す。 ヘアピンだ。 どうやら、長い付け爪のせいで、缶コーヒーの口が開けられないようだ。 仕方ない……。 大きなため息をつくと、手を伸ばし、かわりに開けてやる。 「あ……、ありがとうございます」 女は少し落ち着いたのか、幾分態度が弛む。
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