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………女?
そういえば、名前をまだ訊いていないことに気付く。
「お前、名前は?」
「……本名?」
「どっちでもいいよ!」
別に知りたいわけではない。
ただ、呼ぶのに便利なだけだ。
なかなか答えない。
「安心しな。身分証見せろとか云わねぇから……」
「………アユカ」
「アユカ? ねぇ……。ま、いいか……」
偽名だろう。
「あの…、お兄さんのお名前は……?」
「ん……、進藤!」
ちっ! さっき云ったのに……、もう忘れてやがる
俺は上着をハンガーに掛け、ワイシャツのボタンを外した。
その仕草に、ようやく落ち着き始めたアユカの態度が急変する。
どうにもようすがおかしい。
騙すつもりだったにせよ、仮にも援助交際を云いよってきた女だ。
状況から考えて、セックスは逃れられないにしても、乱暴や、ましてや殺されたりしないと感じてはいるだろう。
浴室でシャワーを出し、再び部屋へもどると、アユカは腿をギュッと閉じ、堅く拳を握りしめていた。
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