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俺はアユカに歩みより
「なんもしねぇから、緊張すんな」
と、頭を優しく叩いた。
「今からシャワー浴びるから……、逃げたきゃ逃げていいが、できることなら逃げずにいてくれるか?」
「はっ、はいっ! もちろんです!」
信憑性はかなり低いが、構わない。
すぐ、ほかに移動すれば済む問題。
身体の汚れを落とせるだけでも儲けものだ。
コミックカフェにもシャワーはあるが、どうにも入る気がしない。
俺はけっこう潔癖症だ。
浴室と部屋は、マンションのように入り口そばの廊下で区切られていた。
大きなバスタブが据えられたガラス張りの浴室。
勢いよく溢れる熱いシャワーを全身に浴びながら、目を閉じ、静かに考えていた。
……これまでのこと。
……これからのこと。
あまり、いい考えは浮かばない。
暗闇を、闇雲に走っているような気分になる。
全身を洗い終えると、洗面所でズボンだけを履き、上半身裸のまま部屋に戻った。
アユカが目を丸くして俺を見る。
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