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「お・に・い・さ・ん……」
突然、背後から声が掛かる。
振り向くと、そこには若い女が立っていた。
俺の不機嫌な表情を読み取ろうともせず、女は明るく喋りだした。
「ねェ、まだ眠たくないでしョ?」
……何を云ってるんだ?
俺は少し首を傾げた。
「お兄さん、あたしと遊ばない……?」
あァ…、援助交際ね
「ね…? ここ出よう……!」
ミニスカートにインディアンみたいな靴と、艶の無い金髪。
――典型的なコギャルってヤツか。
厚化粧が似合わない。
とりあえず訊いてみた。
「……いくつ?」
「エッ、なに?、金額?」
「いや、じゃなくって…、歳」
「あっ、エヘヘ…、19だよ」
女は恥ずかしそうに笑った。
嘘つけ! 高校生だろ?
少し眼を細める。
「いや、止めとくよ」
「え~ッ、……お金ない?」
「そんなことはないけど……」
「じゃァ、いいじゃん!」
ずいぶん喰い下がる。
金持ちにはみえないだろうし、タイプ…、ってことはないよなァ……。
辺りを見渡す。
リュックサック背負った小僧や、よだれ垂らして眠るサラリーマン。
なるほど、俺が一番ましか?
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