第一章

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「ホテルだったらゆっくり寝れるよ?」 安っぽい笑顔を作りながら、軽く首を傾げた。 成る程、一理ある。 ラブホテルに一人で入るわけにも行かないし、何よりカモフラージュになるだろう。 「……幾ら?」 「2万円!」 女は悪怯れる様子もなく答えた。 ここだとばれるのも時間の問題だろう…。ある意味、都合はいいか…… 僅かばかり良心が咎めたが、俺はこの女を利用することにした。 ショルダーバッグを肩から回し、一緒に店を後にする。 入り口を出ると女は腕を絡ませてきた。 馴れていないのか、動きがどこかぎこちない。 ラブホテル街は歩いて5分ほどの裏通りにあった。 歓楽街とはいえ、時間的に人通りは少ない。 周囲を警戒しながら、少し足早にホテル街へ向かった。 「いっぱいエッチなことしようね?!」 「う、うん。そうだね」 少し言葉に詰まった。 「お兄さん、仕事なにしてんの?」 軽く訊ねてくる。 「普通のサラリーマンだよ」 「ふ~ん……。だよね! お兄さん、真面目そうだもん!」 「お兄さん、名前は?」 「新藤……」 「下の名前は?」
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