第一章

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「てめえ、なんとか云えよ!」 胸ぐらを掴まれると、踏張れず、軽くよろけた。 ……ここで暴れて、目立ってしまっては許もこもない。 俺は目的のためにも、これくらいでキレたりはしない。 ――俺の長所は意思が強いことだ。 「やっ、やめて下さい!」 俺はわざと弱々しく訴えた。 「金で済ますか?、血ぃみるか……? どっちがいい?」 迷彩パンツを履いた長身の男が声を掛ける。 雰囲気からみて、どうやらこいつがリーダーらしい。 なんか…、ありふれた台詞が続く。 テレビか漫画が手本か? 思い浮かべ、口元が弛む。 「なにが可笑しいんだ!」 顎髭が平手打ちを張る。 勢いで眼鏡が吹き飛ぶ。 「おいおい、泣かすなよ!」 迷彩パンツの声と、女の嘲笑が耳に入った。 「おいっ、こいつの財布と携帯取り上げろ!」 顎髭が隣にいた金髪の小僧に指示を出す。 それを聞いた金髪が、ショルダーバッグを奪い獲ろうとする。 「チョッ、やめて下さい!」 「うるせぇっ!」 顎髭が再度、平手打ちを喰らわせてきた。 同時に、金髪の膝蹴りが外腿に響く。 「ボコられたくなかったら、云うこと聞きな!」 迷彩パンツが云う。
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