序章

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ハル『そんな…私なんて全然綺麗じゃないよ。 可愛くもないし、自分に自信ないもん。 そんな事言ってくれるのはアキラだけだよ』 アキラ『顔は見えないけど、こうやってやり取りしてたらわかるよ。ハルは魅力的で可愛いよ。 なんていうか…守ってあげたくなるんだよな』 アキラからのこのメッセージが、途端に私を満足感で満たしてゆく。 『魅力的』 『綺麗』 『可愛い』 『守ってあげたい』 私はこの言葉が欲しかった。 その言葉を貰うたび、私は自分が「女」であると実感する。 女として見られているんだと。 私はまだまだ大丈夫なんだ、と……。 たとえそれがバーチャルの世界でも。 満たされた私にとって、もうアキラに用はなかった。 ハル『ありがとう。 今日は色々あって疲れちゃったからもう寝るね。 アキラもお仕事頑張ってね。 おやすみなさい』 最後にそうメッセージを送ると、私はパソコンの電源を落とした。 顔が自然とにやけてくる。 ──今夜は良く眠れそうだ。 ベッドに入り、さっきのアキラとのやり取りを思い返す。 ぬるい幸福感に包まれながら、私はいつの間にか眠りに落ちていた。
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