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季節の移り変わり目の日曜日。
私は一人、近くのショッピングモールに出掛けた。
ちらほらブーツ姿の女の子達が目に入る。
もう秋なんだ。
季節は移り変わるのに、私は何も変わらない。
今日も日曜だというのにこうして一人で買い物だなんて。
一人だというのに、私は目一杯お洒落をした。
セミロングの髪もきれいに巻いて、念入りに化粧もした。
私、綺麗でしょ?
すれ違う子供連れの夫婦に目がいく。
女の方は、お世辞にも綺麗とは言えない容姿だ。
たるんだ体。
無造作に束ねられたボサボサの髪。
ノーメイクの顔。
なんなのこの女?
なんて醜いの?
よくもこんな姿で堂々と歩けるものね。
私の中で嫌悪感が湧いてくる。
──でも。
こんな醜い女でも、自分の幸せを手に入れたんだ……。
同時に、言いようのない敗北感も感じていた。
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