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20代後半位だろうか?
背が高く、スタイルがいい。
少し甘い顔立ち。
無造作に作られたゆるやかな黒髪が、その顔立ちにとても良く似合っていた。
目が合うと、男は私に笑いかけた。
薄く目尻に笑いジワができる。
その笑顔がとても可愛く見えて。
私はその顔に目を奪われた。
「夜分にすみません。今度隣に引っ越してくる澤村と言います」
その男は私に向かってそう言った。
引っ越し?
そういえば私の隣の部屋は空いてたっけ?
近所付き合いなんて面倒臭い事はしないからそんなのも忘れてた。
もともと他人の事に興味なんてないし。
「そうなんですか」
さっきとは打って変わってワントーン高い声で返事をし、私は笑顔を作る。
「はい、来週の日曜に引っ越しの予定なので、うるさくしてご迷惑お掛けしますがよろしくお願いします」
落ち着いた話し方。
心地良い低い声。
その甘い顔から発せられた男っぽい声にドキッとする。
いい意味でのギャップにたちまち心を奪われる。
一瞬にして意識してしまう。
私は、自分の胸が高鳴ってゆくのを感じていた。
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