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鏡の前に立ち、私は私を見てうっとりする。
──綺麗に出来上がった。
化粧もバッチリ決まった。
アラは隠した。
髪型もオッケー。
巻き髪が決まってる。
服装だって、最高じゃない?
ヒラヒラと歩く度に揺れるふんわりしたスカートで、女の子っぽさが強調されて素敵。
大丈夫。
私は、まだまだイケる。
色んな角度から見える自分を鏡で何度も確認して。
そして、色んなパターンの笑顔を作る。
入念にチェックする。
計算された完璧な笑顔を彼に提供する為に、ね。
どの笑顔だって最高の笑顔じゃなきゃダメなのよ。
あ、少しだけ上目遣いにすると可愛いかも。
時計を見ると、鏡の前に立ってから一時間近く経とうとしていた。
自分のチェックに没頭し過ぎた。
私の悪い癖だわ。
もう行かなければ彼が来てしまう。
そろそろ出掛けるとするか。
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