序章

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こんなの私じゃない! 突きつけられた目の前の現実に、酷い怒りが込み上げる。 そうよ。 今日はあんな事があったからちょっと疲れただけ。 仕事中、人の目を盗んで部長が私のお尻を触ってきた。 あのクソオヤジ。 しがない事務員の私なら抵抗しないとでも思ったんだろうか? 簡単に触れる、その程度の女と思っているんだろうか? 「やめて下さい!」 そう怒鳴りつけ、思い切り睨むと 「冗談に決まってるだろ!俺に逆らうのか!」 顔を真っ赤にして逆上していた。 小さな運送会社の名ばかりの部長のくせに、名ばかりの権力を振りかざす。 救いようのない男。 そんな男に「このカラダ」を触られるなんて……。 私も安い女に見られたもんだ。 仕方ない。 この事があったせいで、私はこんなにも酷い顔にならざるを得なかったんだ。 全てはあいつのせい。
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