邪魔者

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ダメダメ! こんな事してる場合じゃない。 早く、早く帰ろう。 ポーチをバッグに放り込み、足早にネットカフェを後にした。 早く帰らなきゃ! 気が焦りすぎて足がもつれそうになる。 もう! ブーツなんか履くんじゃなかった! ブーツのコツコツと辺りに響き渡る音が、どうしようもなく煩わしい。 「あれぇ?おねぇちゃんどうしたの?一人?」 小走りに急ぐ私を見て、酔っ払いのオヤジがフラつきながら話しかけてきた。 はあ!? 話しかけてくるな! このクソオヤジ! 急いでるのよ! 見ればわかるでしょ? 近づいてくる酔っ払いのオヤジに 「どいて!」 私は鬼のような形相で睨み付け叫んだ。 今、私を邪魔する奴は許さない。 「なんだ、あの女」 遠くでオヤジの声がしたけど、気にしない。 私は今から愛しの彼に会いに行くのよ。 酔っ払って女に絡むアンタには、この気持ちわからないでしょうけどね。 時折立ち止まって休憩を入れながらだったが、私はなんとかマンションの前まで辿り着いた。 見渡したけど、引っ越しらしきトラックはない。 ゆっくりと四階を見上げる。 私の部屋の隣。 ドキドキがピークに達する。 そこには明かりが、ついていた。
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