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涙で歪んで前が見えない。
私は、とめどなく溢れる涙をグイッと手で拭った。
マスカラもアイラインもボロボロに崩れて、拭った手は黒く汚れて醜くかった。
黒くて醜くて……。
まるで、今の私の心と同じ。
そんな醜い心の中に浮かんだのは、遼平だった。
──遼平と話したい。
なぜだかわからない。
なぜ、遼平が浮かんだのか。
でも、遼平ならこの孤独や悲しみから救ってくれそうな気がする。
遼平なら……!
パソコン画面に映し出された友達登録のリスト。
誰かログインしててよ。
お願いだから……。
食い入るように何度も何度もそれを見て、チャット友達のログイン状態を確認する。
そして、確認した私はまた悲しくなった。
遼平はログインしていなかった。
遼平だけじゃない。
他の何人かの男でさえも──
あのアキラですら、今夜はログインしていなかった。
あの役立たず!
あんたは何の為に存在してるのよ!?
みんなみんなみんな!
私を馬鹿にしやがって!
私はテーブルに置かれていたライターを掴み、壁に向かって思い切り投げつけた。
許さないから!
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