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午後6時半。
今日は仕事を早く終え、真っ直ぐマンションに帰ってきた。
久しぶりにパソコンの電源を入れる。
あの時から、チャットはおろか、パソコンでさえも触る事はなかった。
私はマウスを操りチャットルームを目指す。
チャット友達は誰一人としてログインしていない。
ログインしてるのは私だけ。
まだ時間が早すぎたんだろう。
「別にいい。あんた達と話したい訳じゃない」
本当は、寂しさを紛らわすためにログインしたのに。
強がった私は、パソコンをそのまま放置した。
帰宅して服を着がえもせず、私は壁に耳をあてる。
──静かだ。
隣からは物音一つ聞こえてこない。
誰もいないんだろうな。
それでも。
誰もいないとわかっていても。
壁に耳をつけ、隣の気配を感じる事を私はやめられない。
今の私にとって、彼との繋がりは唯一この壁だけだから。
わかってる。
大丈夫。
ちゃんと、諦めるから。
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