序章

8/10

10904人が本棚に入れています
本棚に追加
/422ページ
アキラはどんな反応をしてくるだろうか? 返事が来るまでの少しの時間が煩わしい。 煩わしさを紛らわす為にキッチンへと向かう。 冷蔵庫にある最後の缶ビールを手に取り、パソコンの前に戻るとアキラから返信が来ていた。 アキラ『大丈夫か!? 上司のくせに部下に手を出そうとするなんて最低な奴だ! ハルは本当に大丈夫なのか? 俺が近くにいたらハルを守ってやれるのに! こんな事で俺はハルを嫌いにならないし、逆にもっと甘えて欲しいと思ってるよ。 変なこと心配すんな』 笑える! 大丈夫に決まってるじゃない。 嘘だとも知らずに一生懸命になっちゃって。 「フフ……ありがと」 パソコンの画面に表示されたアキラからのメッセージに私はつぶやいた。 こんな作り話にいつも騙されてくれてありがとうね、アキラ。 あんたのその単純なとこが好きよ。 私はビールを一口飲んだ後、アキラへの返事を送った。 ハル『ありがとう、アキラ。 そんな風に言ってもらえてすごく嬉しいよ。 なんだか嬉しくて涙が出てきちゃった…』 本当は笑ってるけどね。 アキラ『泣くなよ。俺がついてるから。 また何かあればいつでも相談してこいよ。 一人で抱え込むな。わかった?』
/422ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10904人が本棚に入れています
本棚に追加