最終章 Rainy Day

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湾岸南署にやってくると、入口にお父さんくらいの歳の細身の男性が立っていて、私を見るなり駆け寄ってきた。 「土岐警部って、あなたですか!?私は鏑木……」 と私が言いかけると、彼は突然私の肩を掴んで顔を近づけると、 「鏑木さんが殺されたって、本当ですか!?」 とまるで怒ってるかのように言うと、私は驚いて土岐警部を見つめた。 「……お父さんを、知ってるんですか?」 私が尋ねると、彼は突然泣き出してしゃがみこんで頭を抱えた。 「鏑木さん………!!!」 彼はそう言って、とめどなく溢れる涙を堪えることも出来ず、うずくまったまま泣いていた。 私はもらい泣きして、彼の前にしゃがんで一緒にうずくまって泣いていた…………。 土岐正彦。 お父さんが刑事時代、一緒に刑事として働いていた相棒だった人。 私も、何回か会っていたみたいだけど、幼かったから覚えていない。
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