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土岐警部の車に乗って、私たちは大黒埠頭に向かって高速を走っていた。
「結局は、京成会に関わったせいで鏑木さんは殺されたんですよ。僕は、反対したのに」
土岐警部は泣き腫らした目をしてそう言うと、私は苦笑いになって少し俯いた。
「……お父さんが、反対したくらいで諦めるような人じゃないわ。それは、土岐さんだって、わかってますよね」
「……確かに。でも、なんで君はここに来たんだ?危ないだろ?まさか、君も京成会に復讐するつもりじゃ……」
と土岐警部が眉をピクンと上げて言うと、私は涙ぐみながら前を向いた。
「私は、復讐を止めに来たんです」
「え?永澤毅を、かい?」
私は頭を小さく横に振った。
「系斗を」
土岐警部は、驚いて私を見つめた。
誰だ?と聞かないとこを見ると、土岐警部は系斗を知ってるんだ。
まさか。殺し屋だった系斗を逮捕しないよね。
「………系斗を、捕まえる?」
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