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工場などもある大黒埠頭は、騒がしくて空気もどんよりしている。
まだ昼前の横浜の空は雨模様で、ベイブリッジも雨で霞んでいる。
目撃情報で、この倉庫にいることに間違いはない。土岐警部以外にも、見張っている車が止まっていた。
「警部!」
と周りの刑事たちが車から降りて言うと、私は車から飛び降りるように駆け出して、倉庫のドアを思いきり左右に開いて開けた。
「茗さんッ!!!!」
と土岐警部は驚いて叫んでいる。だけど、もう時間がない。
「系斗!!!!」
ドアを開けて叫ぶと中では銃声が響いていて、私は立ちすくんでいる系斗の背中を見つけて一目散に駆け出した。
「系斗!!系斗ぉ!!!」
白いシャツが赤い血で所々染まっている。
系斗はゆっくりと振り返ると、驚いて私を見つめて、
「茗…!何故」
と言いかけると、私は系斗に駆け寄り思いきり右手を振り上げてその頬を平手打ちした。
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