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人気のない公園の駐車場に車を停めて、系斗はバックシートに移動し、茗を抱きしめていた。
間に合うのなら、アレックスに頼んで治療してもらおうと思ったが、どうやらもう手遅れだと分かってしまった。
茗は、もう、助からない。
「茗。私は情けないです……!!愛美さんだけではなく、裕も、あなたまでも助けられなかった……!!私は会うべきではなかったんだ………!!」
系斗は大粒の涙をポロポロと零して歎くと、さっきまで意識のなかった茗はゆっくりと瞼を開けて系斗を見上げた。
「誰も、あなたを憎んでいないわ。むしろ、感謝してる。…………系斗。あなたに会えて、私は嬉しかった。…………嬉しかったのよ……」
茗は涙ぐみながら微笑んでそう言うと、系斗は驚いて茗を見つめて、余計に顔をくしゃくしゃにして泣き出した。
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