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「愛してる………。茗…」
系斗が泣きながらそう言うと、茗は系斗を見つめて嬉しそうに微笑んだ。
「私も…………。愛してるわ。…………これからは、ずっと一緒よ…………。あなたの、そばに…………」
茗はそう言いかけて、ゆっくりと瞼を閉じて、その生涯に幕を降ろした。
系斗は唇をきつく噛み締めて、茗を力いっぱい抱きしめると、
「茗ぃぃッ!!!!!」
と泣き叫んだ。
その途端、雨は一層強さを増して、まるで車を押し潰そうとしているかのようにバタバタと音を立てて降り出していく。
私と裕が出会わなければ、こんなことにはならなかった。
愛美さんをみすみす殺されて、森田昭夫も玉木靖明も死んで、裕まで目の前で殺された。
茗だけは、そんなことに巻き込むつもりはなかったのに…………結局は守れなかった。
茗は、私を庇って、死んでしまった…………!
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