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アレックスは東京の研究所を出ると、土砂降りの雨に溜め息をこぼし空を見上げた。
「しかし、よく降るなぁ」
英語でそう呟き、予め呼んであったタクシーに乗り込もうとすると、ふと、研究所の入口付近に佇む白いスーツの男を見つけた。
あれは……………。
「系斗………か?」
アレックスは雨の中、系斗に駆け寄ると、系斗は悲しそうな目をしたまま、少し目を伏せた。
「教えてください、ドクター。私は、生きる資格、あるんですか?たくさんの人を殺してきました。幾つもの尊い命を救えなかったのは、人を殺して来た報いなのでしょうか………。それなら、私は………私なんか、生きる資格など、ない……」
系斗は英語でそう言うと、アレックスは系斗をじっと見つめていた。
泣いているのか。
雨に濡れているのか。
アレックスは、傷ついた系斗を見て、茗までも死んでしまったことに気がついてしまった。
「………茗は、どうしたんだ?」
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