ハウス国境 [フリーク]

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罠、という言葉がフリークの頭をよぎる (まさかな…) 彼は彼の主から受けた命令を思い起こしてみた 肩まで伸びた赤毛 紺の垂れた瞳 話すときに首を少し傾けるクセが、人を上から見る態度に拍車をかけ… (いやいや、仕草じゃなくて) 自分にツッコミを入れつつ、改めて主の言葉を思い出す やっとのことで彼の主、レイブの鼻にかかった声が頭の中で再生された 「フリーク、命令だ あのアホがサイロの土を踏む前に首をとってこい! スグ殺せ 今殺せ ヤレ殺せ」 (…はぁ) フリークは肩を落とす (…一国の主が言う台詞か?) 口の悪さは兎も角 しかしフリークは自分の主、レイブが聡明な事を知っている (事態はレイブ様の範疇を超えているかもしれないな…) 用心のため、彼は特有の折れ曲がった剣を抜いた 浅い呼吸を繰り返し、敏捷に進む 走行中は兵は大抵操舵室にいるので、見つかる確率は低いだろう しかしT字路に差し掛かったところで突然後方のドアが開いた フリークはとっさにT字路に飛び込む 幸いにも飛び込んだ先の通路には人はおらず、フリークは壁を背に、剣の腹を鏡代わりにして後方を覗き見た 兵はフリークとは反対側に進み、閉まりかかったドアからは様々な計器とディスプレイが見える (…操舵室か) 小さく溜め息をつく 依然として心拍数は上がったままだった
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