3人が本棚に入れています
本棚に追加
(あそこが操舵室ということは…)
フリークは前方のやや高い空間を睨みつける
(ヤイパはあそこか)
指令室とおぼしきスペースまで一直線である
元来暗殺を生業にしていた彼には簡単なコースであったが、フリークはいつもより慎重に歩を進めた
相変わらずタンク内は振動と騒音でうるさい
しかしその悪環境の中、フリークは視覚・聴覚に神経を集中させる
音もなく扉を開け
気配を消して指令室に入り込む
呼吸や鼓動の音もしない今の彼は、まるで影のようであった
しかし部屋に入ってすぐに彼は異変に気付く
(血の匂い…!)
薄暗い部屋には司令官用の椅子が1脚
残念な事にフリークの位置からは座っている人物の姿は確認できなかった
(何か、おかしい)
慎重で冷静に物事を考える彼だが、今はあまり時間が無かった
フリークは一気に跳躍する
剣を構えたまま、椅子の前に躍り出た
!?
「そんなっ!」
刹那の間を置き
あまりの光景にフリークは叫んだ
唖然として身が固まる
フリークの額から汗が流れた
椅子には首のない人物が腰掛けており
膝の上で支えるように何かを両手で持っている
ヤイパの首であった
最初のコメントを投稿しよう!